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政治

そも国家戦略特区は「憲法違反」

規制改革の美名の下の「公私混同」

2017年8月号

 人を思考停止に陥らせるマジックワードの中でも、「戦略」「特別」「改革」ほど、中身が伴わずとも響きが良く、胡散臭くても異を唱えにくい言葉はない。安倍晋三が内閣総理大臣の地位を濫用して親友に便宜を図り、行政を歪めたのかどうかばかりが焦点となった学校法人「加計学園」を巡る騒動でも、こうした単語に惑わされ、獣医学部新設のために利用された「国家戦略特別区域(特区)」自体に内在する憲法上の疑義が問われない。その方が、より深刻な問題であるにもかかわらず。
 加計問題を巡る総理大臣官邸の言い分は、「行政を歪めてきたのは一九六六年以来、獣医学部の新設を阻んできた文部科学省であり、国家戦略特区はこうした岩盤規制に穴を開けるために必要だった」というものだ。与党内には、仮に安倍が獣医学部新設に関与していたとしても、「国家戦略特区で扱う規制改革メニューを決める『国家戦略特別区域諮問会議』(諮問会議)の議長が総理大臣である以上、当然」と開き直る声も多い。少なくとも、国家戦略特区そのものを「悪者」にする視点はない。

「法の下の平等」に反する
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