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連載

新・不養生のすすめ12

「除菌・抗菌」はやりすぎ禁物
大西 睦子

2018年3月号

 喉の痛みや咳などの症状のために病院を受診し、「念のために」「とりあえず」という理由で、抗生物質の処方を受けた経験はないだろうか。米疾病対策予防センター(CDC)によると、感染症のある二十歳から六十四歳の米国人の三五%(左頁グラフ)は、外来で、尿路感染症やその他の細菌感染症などの病状のため、不必要な抗生物質が処方されていた。さらに、この調査によると、同年齢層の米国人の七〇%(同)は、病状にかかわらず、ウイルスによって引き起こされる風邪、インフルエンザ、咽頭炎、気管支炎や副鼻腔炎、そしてアレルギーなどによる急性の呼吸器症状に対して、外来で不必要な抗生物質が処方されていた。
 抗生物質は、ウイルス感染に効かないし、医療費の無駄遣いだ。また抗生物質で、体内のすべての細菌を一掃することは不可能だ。生き残った体内の細菌は抗生物質に抵抗し始め、将来、必要なときに抗生物質がうまく効かなくなる。CDC元所長トーマス・フリーデン博士は、「抗生物質は命を救う薬だが、不適切な使用を続けると、私たちは生命にかかわる感染症と戦うための強力なツールを失う」と警告する。
 それにしても、なぜ医師・・・