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不動産業界は「淘汰と寡占」鮮明に注目される「オリックス」

 金融機関による融資先の選別が加速し、不動産業界では「ブランド力」「信用力」が強みを増している。ここ数年のミニバブルが崩壊し、国内の不動産業界は、新興会社の淘汰と、財閥系を中心とした大手の寡占化の傾向が出てきている。残酷な二極化は、今後ますます鮮明になるだろう。

 不動産市況は昨秋以降、全体として低調だ。皇居のお堀端に位置する大手町のAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)ビル。同社再建策の一環として現在売りに出されているが、超一等地であるのに、「果たして買い手がつくのか。足元を見られて安く買いたたかれるのではないか」と売却を仕切る関係者から不安の声が漏れる。一年前、AIGビルと目と鼻の先にある「りそな・マルハビル」の七割の持ち分を三菱地所が一千六百二十億円という高値で取得したのが、昔の出来事のようだ。

 しかし全体の苦境にもかかわらず、例えば三菱地所からは攻めの姿勢が伝わってくる。
「ジリ貧のマンション分譲会社を傘下に収めるメリットはあるのか」。二月五日、三菱地所が、苦境に陥っている藤和不動産を完全子会社化すると発表した際、疑問を抱いた報道関係者や市場関係者は少なくなかった。第三者割当増資を引き受ける形で、地所は藤和に百八十九億円を出資。持ち株比率を約八割に引き上げ、その後、株式交換の手法で残りの株式を取得する。藤和の新たな社長には、地所の専務執行役員で、三菱地所リアルエステートサービス社長を兼ねる八木橋孝男氏が就く。市場に漂っていたネガティブな見方を、木村惠司・地所社長は一蹴した。「藤和不動産は区画整理事業などに強みがある。地所本体の住宅部門と藤和不動産をいずれ再編・統合することなどで、地所の住宅事業の強化にもつながる」。

 また地所は、〇八年から一七年の間に四千五百億円を投じ、七?八棟のオフィスビルを再開発する「丸の内再開発・第二ステージ」を「計画通り続行する」(木村社長)姿勢だ。

大手には楽観的観測も

 ライバルの三井不動産は二月、棚卸資産の評価減を計上した結果、今期の連結純利益を当初見込みの九百億円から七百億円に下方修正した。しかし、「地価や建材費の下落で、物件を仕込みやすくなってきた」(三井不動産幹部)という。「在庫をいち早く処分することで、新規物件の立ち上げを急ぎたい」(同)と前向きな声も上がる。

 野村不動産も昨年末、銀座の東芝ビルなどを保有する東芝不動産を連結子会社化し、地所と同様、業容拡大に意欲的だ。大型の住宅ローン減税も追い風となり、「年明けからマンションのモデルルームの来場者数が増えた」(野村不動産幹部)。

 金融機関の貸し渋りは加速しているとの見方が一般に強い。だが、「不動産業界のなかでも財閥系などブランドと信用力が高い会社への貸し出しは高い水準で資金が出ている」(大手都銀幹部)。借り手の立場からしても、「有利子負債が大きい不動産会社にとって低金利は有利。社債発行も良い条件でできる」(三井不動産幹部)という。
「棚卸資産の評価損を前倒し計上していることもあり、来期は業績も持ち直す」(地所幹部)。そんな楽観的な観測も大手不動産の間では増えてきた。

 対照的に混迷の度合いを深めているのが、新興の不動産会社やマンション・デベロッパーだ。その典型例が、昨年八月に破綻したアーバンコーポレイション。負債総額二千五百五十八億円を抱えて民事再生手続きを申し立てたが、「金融機関やファンドによる融資・出資先選別の波に、もろにのみ込まれた」(大手都銀幹部)ケースだ。

 同社はマンション分譲に加え、稼働率や収益性が低い老朽ビルを買い入れて改修し、付加価値の高い不動産にリニューアルして、ファンドなどに売却する「不動産流動化ビジネス」に力を注いで台頭。〇八年三月期の連結売上高は二千四百三十六億円と二年間で四倍に増えた。しかし、サブプライム問題の影響が日本に波及した〇七年後半から金融機関の融資姿勢が厳しくなり、資金調達に行き詰まるようになる。さらに不動産市況の悪化で、開発済みの物件の売却が困難となった結果、資金繰りに支障を来した。

 同様に経営破綻したスルガコーポレーション、ゼファー、創建ホームズ、モリモトなども構図は一緒だ。開発した不動産物件の受け皿となってきたニューシティ・レジデンス投資法人など不動産投資信託(REIT)の運用会社も相次いで破綻。先日破綻した不動産投資ファンドのパシフィックホールディングスも、傘下に日本コマーシャルと日本レジデンシャルという大手の投資法人を抱えていた。一、二年前までは有望な資産形成の場として活況を呈していたREIT市場も、指数の大幅な下落で今や崩壊の危機に瀕している。

「直接エンドユーザーに販売する財閥系の大手が、プロからプロに転売する新興不動産やマンション・デベロッパーのスポンサーとなって取り込んでいき、業界は寡占化していく」。国内不動産業界の将来について、大手不動産会社の幹部はこう予測する。

 実際、アーバンコーポレイションに対し大和ハウス工業がスポンサーとして名乗りを上げたほか、日本綜合地所やモリモトなどについても、「水面下で複数の大手不動産会社が買い上げを検討している」(大手投資銀幹部)らしい。

注目されるオリックス不動産

 業界内の話題として最近急浮上しているのが、「かんぽの宿」売却問題で話題を呼んだオリックスグループだ。一連の報道では、日本郵政の西川善文社長と、オリックスの宮内義彦オーナーの関係がクローズアップされたが、不動産業界ではオリックスグループの一翼を担うオリックス不動産の経営問題が注視されている。

 オリックス不動産も前出の新興不動産やマンション・デベロッパーと同様、グループが運営する投資ファンドを介して資金調達し、都心の物件を買い漁り、これもグループが運営するREITに売却するなどして急速に業容を拡大してきた。オリックスは昨年末に一千五百億円分の新株予約権付社債(CB)を発行したが、同社の株価は急落。その後、急きょ国内主要金融機関三十行との間で約一千億円の融資枠(コミットメントライン)契約を結んだ。「当社の株価に重大な影響を与える事実に基づかない情報が流布されている」として、証券取引等監視委員会に調査依頼したことを明らかにするなど火消しに躍起の様子だ。「オリックスの収益構造は、まさに逆風の中にある」(大手証券幹部)という見方も出るなか、昨年来絶えずマーケットで流れる同社の資金繰りに関する噂に市場関係者は神経を尖らせている。


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