「超大国」中国とどう付き合うべきか邱 永漢(作家)
2009年6月号 連載〈巻頭インタビュー〉
---中国の存在感が日増しに大きくなっています。
邱 外交も経済もすでにその存在感は日本を凌いでいます。そのこと自体は二十年前から予想できたことで驚くにはあたりません。中国の存在あればこそ、日本も今回の世界的な景気後退のショックはいくらかやわらいでいるはずです。
---中国の成長に日本は脅威や戸惑いを感じているように思います。
邱 それは何よりも日本人のものの見方と関係あります。日本人は自分より上か、下か、という序列意識でしか相手を判断しません。平等という意識がないのです。明治維新以来の勢力関係が下敷きとなり、今まで下と見てきた中国の台頭が承知できないのでしょう。
---問題の根は深いですね。
邱 そうはいっても、十年後には今よりもずっと中国の存在感は高まっています。それに対し、昔ながらの悪感情をむき出しで付き合っていくのですか。東南アジア経済を握っているのも華僑であることを考えると、中国との関係はさらに重要なのです。私はかつて、「日本人はアジアの蚊帳の外」と閉鎖的な日本の故なき優越感を指摘したことがあります。どの道、中国と付き合っていくしかないならば、自分も同じ蚊帳の中に入るべきでしょう。
---具体的に中国とはいかに付き合っていくべきでしょうか。
邱 何をおいても経済活動を最優先にすべきでしょう。金やモノの動きが人間の考え方まで左右します。実利が人間の考え方を変える近道です。日本人が中国で果たせる役割はたくさんあります。例えば私は今後十年の最も重要な動きとして、中国が工業化していく過程で食糧不足に陥るとみています。世界中で稼いだ金で中国が食糧を買い漁ったら大変なことになります。そうなる前に日本の農業技術で中国の農業の生産性を上げる手伝いをすれば、共存共栄の道は開かれていきます。経済活動に従事する個々人が中国との共存関係を深めていけば、中国の脅威や反発などは自然となくなっていきます。
---しかし、中国ビジネスでは失敗の例をよく耳にしますが。
邱 それはお互いに相手をよく理解していないからです。相手を理解しなければ、同じ日本人同士だってうまくはいきません。日本人は何でも共産主義のせいにしたがりますが、一番足手まといになっているのは過去二千年にわたる官僚専制システムが今も残っていることです。それが北京五輪以降、経済力をつけた民衆の力によって急速に力を失い始めています。あと十年もたったら、お金の力がもっと社会の在り方を大きく変えるでしょう。
---日本の中国観はまだまだ固定観念に縛られているということですね。
邱 日本人は定位置に立ったままでものを見る癖がついているので、新しい変化に気がつかないのですよ。私は「植物的発想」と言っているのですが、これだけ世界中どこにでも行けるようになったのですから、言論界の人たちも、もっとあっちこっち見てまわったらどうですか。過去にこだわるよりも、どうしたらお互いのためになるかというポイントからものを見たらどうでしょうか。例えば若い人が百万人くらい中国に出稼ぎに行ったら、日本人の中国観は一変してしまいますよ。田舎のシャッター通りにこだわっているより海外に出稼ぎに行くことをおすすめします。
邱 外交も経済もすでにその存在感は日本を凌いでいます。そのこと自体は二十年前から予想できたことで驚くにはあたりません。中国の存在あればこそ、日本も今回の世界的な景気後退のショックはいくらかやわらいでいるはずです。
---中国の成長に日本は脅威や戸惑いを感じているように思います。
邱 それは何よりも日本人のものの見方と関係あります。日本人は自分より上か、下か、という序列意識でしか相手を判断しません。平等という意識がないのです。明治維新以来の勢力関係が下敷きとなり、今まで下と見てきた中国の台頭が承知できないのでしょう。
---問題の根は深いですね。
邱 そうはいっても、十年後には今よりもずっと中国の存在感は高まっています。それに対し、昔ながらの悪感情をむき出しで付き合っていくのですか。東南アジア経済を握っているのも華僑であることを考えると、中国との関係はさらに重要なのです。私はかつて、「日本人はアジアの蚊帳の外」と閉鎖的な日本の故なき優越感を指摘したことがあります。どの道、中国と付き合っていくしかないならば、自分も同じ蚊帳の中に入るべきでしょう。
---具体的に中国とはいかに付き合っていくべきでしょうか。
邱 何をおいても経済活動を最優先にすべきでしょう。金やモノの動きが人間の考え方まで左右します。実利が人間の考え方を変える近道です。日本人が中国で果たせる役割はたくさんあります。例えば私は今後十年の最も重要な動きとして、中国が工業化していく過程で食糧不足に陥るとみています。世界中で稼いだ金で中国が食糧を買い漁ったら大変なことになります。そうなる前に日本の農業技術で中国の農業の生産性を上げる手伝いをすれば、共存共栄の道は開かれていきます。経済活動に従事する個々人が中国との共存関係を深めていけば、中国の脅威や反発などは自然となくなっていきます。
---しかし、中国ビジネスでは失敗の例をよく耳にしますが。
邱 それはお互いに相手をよく理解していないからです。相手を理解しなければ、同じ日本人同士だってうまくはいきません。日本人は何でも共産主義のせいにしたがりますが、一番足手まといになっているのは過去二千年にわたる官僚専制システムが今も残っていることです。それが北京五輪以降、経済力をつけた民衆の力によって急速に力を失い始めています。あと十年もたったら、お金の力がもっと社会の在り方を大きく変えるでしょう。
---日本の中国観はまだまだ固定観念に縛られているということですね。
邱 日本人は定位置に立ったままでものを見る癖がついているので、新しい変化に気がつかないのですよ。私は「植物的発想」と言っているのですが、これだけ世界中どこにでも行けるようになったのですから、言論界の人たちも、もっとあっちこっち見てまわったらどうですか。過去にこだわるよりも、どうしたらお互いのためになるかというポイントからものを見たらどうでしょうか。例えば若い人が百万人くらい中国に出稼ぎに行ったら、日本人の中国観は一変してしまいますよ。田舎のシャッター通りにこだわっているより海外に出稼ぎに行くことをおすすめします。
〈インタビュアー 編集部〉

















