連載

還りのいのち 還りの医療 米沢慧連載35 還りのイノセンス ソンタグ「最期の日々」

 スーザン・ソンタグといえば、乳がん体験を病者としてではなく思想家として、恐怖心をあおりたてる「癌=恐怖=死」というがん神話に挑んだ名著『隠喩としての病い』(一九七八年)がある。そこでは「癌という悪しき病者の王国」にあっても「健康に病気になること」が力強く説かれていた。だが、彼女の日記には、がんへの憎悪と絶望の深さの記述が際だっていた。

 ソンタグが血液のがんで亡くなる「最期の日々」(二・・・
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