三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

森トラストを悩ます「巨額背任」疑惑

会長の「寵臣」二人と法廷闘争へ

2018年12月号

 大手デベロッパー「森トラスト」は現在の会長である森章氏が、父泰吉郎氏の創業した「森ビル」を継いだ実兄の稔氏と袂を分かつ形で、一九七〇(昭和四十五)年に創業した。東京都港区の六本木ヒルズに代表される賃貸ビル業を生業とする「森ビル」と異なり、オフィス事業に加え、高級ホテルのマリオット、コンラッド、シャングリ・ラなどの誘致開発を手がける独自路線を歩み、現在の地位を揺るぎないものにした。一昨年には、森氏が会長となり、社長の座を長女、伊達美和子氏に譲った。
 この森トラストで森氏の「負の遺産」を清算するかのような法廷闘争が繰り広げられている。原告は森氏自らが百%出資した個人投資会社「MAプラットフォーム」で、訴えられているのは二人の個人。しかも、いずれもかつては森氏の寵愛が深かったという尋常ならざる裁判である。

目黒雅叙園「売買劇」の裏側

 森氏の怒りを買い、訴えられたのは、元MAプラットフォーム社長の村田正樹氏とMKトラスト社長の神原実樹氏だ。この二人はいかにして、森氏と親密な関係を構築したのか。
・・・