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西風 492

世界有数の「古代湖」を探る

2022年5月号

 琵琶湖といえば、言わずと知れた関西の水がめだ。そのルーツとなる湖ができたのは、今から約四百万年前。その後、地殻変動などを経て形や位置を変えてきた。現在とほぼ同じ姿になったのは約四十万年前とされる。
 普通の湖は、一万年ほどで土砂などが堆積して消えてしまう。そのため琵琶湖のように長期にわたって残り続ける湖は稀で、百万年を超える「古代湖」は世界的にみても二十ほどしかない。地質学的に貴重なだけでなく、固有生物も豊富で研究の対象になっている。
 大学以外に、琵琶湖の観測・研究に取り組む法人もある。認定特定NPO法人「びわ湖トラスト」は、二〇〇七年に前身となる組織が発足した団体だ。気候変動の湖への影響を調査しようと集まり、現在では清掃活動や、浄化プロジェクトなどにも取り組んでいる。
 琵琶湖北部でみられる「還流」と呼ばれる水の流れを、通信機器を使って観測する取り組みも行っているという。この団体が力を入れている活動のひとつが環境教育だ。子どもたちが琵琶湖の自然に触れ、環境について学べるイベントなどを開催している。
 民間企業が運航する学習船を利用するほか、・・・