京都大学大学院修了後、公衆衛生学を専門に、滋賀医科大学を経て大阪教育大学教授、宝塚大学学長を歴任。2020年4月から現職
ソニー株式会社、マサチューセッツ工科大学 バイオテクノロジーセンターなどを経て、2019年7月から現職
山川イギリスやオランダを中心に提唱され実践されてきた公衆衛生施策「ハーム(害)リダクション(低減)」がありま す。これは個人が健康被害をもたらす行動をすぐに止めることができない時、その行動に伴う害を減らすことを目的としたものです。たばこの問題にも、この考え方を当てはめることが可能です。紙巻たばこよりも害の低い代替製品への移行を喫煙者に提示していくことは、公衆衛生の面からも意義のあることだと思います。
飯田たばこ葉が高温で燃えることによって、6千種類以上の化学物質が発生し、その煙の中には、喫煙関連疾患の原因となる有害性成分がおよそ百種類含まれます。たばこ葉に火をつけて「燃やす」のではなく「加熱」すれば、煙が出ず、発生する有害性成分の量も大幅に低減できます。
山川そのような製品は、ハームリダクションの観点から大変有効な紙巻たばこの代替製品であると言えます。とはいえ、有害性成分はゼロになっているわけではく、たばこ葉を用いた製品である以上リスクがないわけではありません。
飯田加熱式たばこなどの煙の出ない製品 にもリスクがないわけではなく、成人喫煙者にとってベストな選択肢は禁煙ですが、それでも、喫煙を続ける方々 がいる以上、紙巻たばこと比べて、害を低減する可能性のある製品を開発し、提供することは、私たちの責任です。
すでに成人喫煙者の4人に一人は加熱式たばこを使用*2しています。
加熱式たばこの販売開始に伴って紙巻たばこの消費量が4年で34%も減少*3しました。
適切な規制環境と社会の後押しがあれば、今後10~15年の内に紙巻たばこを煙の出ない製品で置換え、日本で「煙のない社会」を実現することも不可能ではないと信じています。
IQOSは2020年7月、米国食品医薬品局(FDA)から「暴露低減たばこ製品」として米国国内で販売することを認可されました。
これは、FDAが定めている「リスク修飾(低減)たばこ製品(MRTP)」の申請制度によるもので、加熱式たばこ製品として第一号でした。
FDAはIQOSについて、「たばこ葉を燃やさず加熱することで発生する有害および有害性成分の量が大幅に低減している」、また「従来の紙巻たばこから完全に切替えることで成人喫煙者の体内でそれらの成分への暴露が低減する」と結論づけました。
さらにFDAは、喫煙をしない人も含めて社会全体の健康にとってIQOSが有益であることが科学的データによって示されたという結論も導いています。
日本国内における紙巻たばこの販売量は継続的に減少してきましたが、その減少速度はIQOSが全国発売された2016年以降、大きくなっています。
2015年には日本国内で1823億本の紙巻たばこが販売されていましたが、2019年には1209億本にまで減少しています。
一方で、IQOS用を含む加熱式たばこの販売量は増加し、2016年に51億本だったものが、2019年には7倍以上の371億本という市場規模になりました。
この間、紙巻たばこが燃焼して出される煙は、4年間で約600億本分消失したことになります。