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連載

本に遇う 第246話

コロナ徒然草を読む
河谷 史夫

2020年6月号

 降って湧いた新型ウイルスの蔓延で、新聞もテレビもコロナにあらずんばニュースにあらず、今やコロナの時代である。
 日常風景も変わった。わたしが住まいする千葉の浦安でも、書店が閉じ、飲み屋が店仕舞いし、蕎麦処は休業中だ。羽田と成田が近くて大型の航空機が往来し、ことにディズニーランドを見せるための低空飛行を毎日見ていた。それが近頃は、飛んでいない。
 不要不急の小人が閑居してろくなことはない。日くらしよしなしごとを考えていると、「あやしうこそものぐるほしけれ」となってきそうである。外出にはマスクが要る。新聞川柳に〈十万とマスク二枚で生き延びよ〉。われらが宰相の下知ながら、アベノマスクはまだ来ない。十万円もまだ来ない。拉致被害者奪還も北方領土返還も口約束に終わったことを思えば、待っていても無駄かも知れない。
 公文書改竄、公文書廃棄、虚偽答弁、勝手な法解釈、官僚人事の専断。東京新聞の定義だと「あり得ない手口を駆使して維持してきた憲政史上最長政権」が、今度は緊急事態の陰でこそこそと検察庁法をいじくろうとした。姑息さだけは変わらない。特定の検察幹部の定年延長は、それ・・・