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連載

マスコミ業界ばなし

2017年10月号

 総選挙を前に安倍晋三首相がテレビを使って自らを都合よくアピールする一方で、放送局側はやられっぱなしになった。「国難突破解散」について記者会見を行った九月二十五日月曜日。会見終了直後に官邸を出た安倍首相は、永田町のザ・キャピトルホテル東急に移動し、レストランで後に控えたテレビ出演について秘書官らと入念な打ち合わせを行った。
 その後、首相はNHK、テレビ朝日、TBSと三つの放送局を梯子して、それぞれ二十~三十分程度出演し、今回の解散の理由について説明した。関係者によれば、「官邸からの出演の打診が前週の金曜日にあり、急遽編成をやり直した」という。「官邸からは出演する番組、時間、まずは首相に説明させろ、など一方的な要求が伝えられ、上層部はこれを唯々諾々と呑んだ」(民放関係者)。蓋をあければ、首相は森友学園問題などに関する質問にろくに答えず、自らの正当性を主張しただけの「電波ジャック」(同前)に終わった。
 一方で、「今回も政府・与党から、『公正な選挙報道を求める申し入れ』が行われる」(民放政治部記者)見込み。特に選挙期間中の報道について、「放送法を盾に脅す」(同前)。放・・・