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西風 505

大阪「カジノ」遠のく開業

2023年6月号

 カジノを含む統合型リゾート施設、いわゆる「IR」について、政府が四月、大阪府と大阪市の提出した区域整備計画を国内で初めて認定した。安倍晋三政権が「成長戦略の目玉」に位置付け、法律制定や制度設計を強力に進めてきたが、国内で最大三カ所まで整備できるIRの候補地に残ったのが大阪のみという結果に。同じく手を挙げた長崎県は、資金計画に疑問符が付いて審査継続となった。
 大阪府・市が提出した計画では、IRの年間来場者数は約二千万人、売上高は約五千二百億円で、このうち八割をカジノで稼ぐ想定となっている。新型コロナウイルス感染が落ち着き、インバウンド(訪日客)が回復しつつあるとはいえ、世界の情勢は大きく様変わりしている。府市を牛耳る大阪維新の会はIRを大阪・関西経済の起爆剤にと目論むが、ただでさえずれ込んでいる開業時期はさらに遅れる可能性も出ている。
 IRの予定地は大阪市の人工島で、二〇二五年大阪・関西万博の会場でもある夢洲。ここに総延べ床面積七十七万平方メートルの施設を整備する。具体的には国際会議場や展示場、三種類計約二千五百室のホテル、飲食・物販・文化体験の施設やカジノなど・・・