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ウクライナ「五月危機」はない

「プーチンの戦争」は制御不能に

2024年5月号

 ウクライナ戦争をめぐる日本の専門家の予測は、節目で外れることが多い。2022年2月のロシア軍の全面侵攻では、米政府が必ずロシアは攻撃すると警告していたのに、大半のロシア専門家や防衛省関係者は「欧州安保を有利に展開するための外交工作」などと侵攻を否定していた。
 昨年6月のウクライナ軍の反転攻勢を前に、自衛隊幹部OBや専門家は「欧米の新鋭戦車を動員し、一気にクリミア半島まで到達も」と楽観的だったが、ロシア軍の強力な防衛陣地に阻まれ、失敗した。
 現在はその反動からか、主導権を握ったロシア軍が全戦線で優位に立ち、一気に支配地区を拡大するとの見方が強い。米国の軍事援助を絶たれたウクライナは、国家存亡の危機に立つという悲観論もメディアで強まった。
 しかし、難航していた600億ドル(約9兆円)のウクライナ支援法案が4月20日、米下院で可決されたことで、予測はまた修正を強いられるかもしれない。
 ウクライナ支援に反対していた共和党のトランプ前大統領も、「融資なら認める」「米国にとってウクライナ存続は重要だ」と援助承認に転換。米政府の支援体制が整った。{b・・・

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