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経済

聞こえ来るヨーカ堂「身売り」説

「状況証拠」が次々と

2010年11月号

 セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が、米ウォルマート・ストアーズの軍門に下る!?
 今、消費の底割れに苦しむ国内流通業界でこんな仰天話が囁かれている。仮にこれが実現し、日本法人のウォルマート・ジャパン・ホールディングス傘下の西友とヨーカ堂が合併した場合、新会社の売上高はざっと二兆三千億円。現時点では、イオンの総合スーパー(GMS)事業を凌ぐ規模となる。もちろんセブン&アイは根も葉もない話と強く否定するだろうが、「この手の話題についてギリギリまでシラをきりとおすのが流通業界の特徴」(流通専門紙記者)。逆に両陣営の「接近」を窺わせる状況証拠は、秋以降、増える一方となっている。
 鈴木敏文セブン&アイ会長は昨年九月、そごう心斎橋店をJ.フロント リテイリング傘下の大丸に売却した際、「ヨーカ堂だって例外ではない」などと語った。この時は単にヨーカ堂社員の奮起を促す発言だと受け止められたが、今ではヨーカ堂「身売り」説の根拠として独り歩きしてしまった。

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