「対露外交の地盤沈下は小泉政権以降常々言われてきたが、今回はそれにとどめを刺したという意味で、河野大使の罪は大きい」
　日本の外交にも詳しいロシア専門家はこう嘆く。
　メドベージェフ露大統領の国後島訪問を受け、官邸は駐ロシア大使である河野雅治を日本に帰国させた。表向きは「ロシアへの抗議」とも言われた今回の一時帰国は実は、「外交上の対抗措置などではなく、本当の『事情聴取』」（前出専門家）だった。大使館から適切に情報が上がってこず、大使本人を帰国させたというのが実情だ。
　今回の国後訪問前に、在露大使館は「メドベージェフが北方領土を訪問する可能性がある」との情報は手にしていた。しかし、これはマスコミで流布されている公開情報を一歩たりとも出るものではなかった。しかも、呆れることに、同大使館は事前に「大統領の訪問する可能性は小さい」とする誤った分析結果まで報告している。
　帰国後の「事情聴取」でも、河野は「今回の国後訪問はロシアの内政問題である」との評論家程度の分析を繰り返すばかりで、何故このタイミングだったかなど鋭い分析はなんら示さなかったという。{b・・・