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中国は「尖閣」で何をしでかすか

日中緊張の「焦点」を巡る攻防

2026年1月号

 日中関係が悪化するなか、徐々に緊張が高まっている場所がある。日中両国が領有を主張する尖閣諸島だ。海上保安庁ホームページによると、高市早苗首相の存立危機事態を巡る国会答弁があった2025年11月7日以降、中国海警局の船舶が同月16日にのべ4隻、12月2日に同2隻、10日に同4隻、それぞれ尖閣諸島の海岸線から12海里(約22㎞)の日本領海に侵入した。同24海里(約44㎞)の接続水域には11月11日から14日を除き、毎日侵入を繰り返している。接続水域の侵入は24年、過去最多の355日を記録した。
 海上自衛隊の元幹部A氏は「355日という数字は生半可なものではない」と語る。「台風通過などで尖閣諸島周辺海域が暴風圏に巻き込まれた時以外、常駐していたことになる」からだ。「それにしても、普通なら台風接近に合わせて早めに待避する。中国側の能力が上がっていることと、常駐することへの強い意志を感じる」(A氏)。
 12年9月に尖閣諸島が国有化された当時、中国海警局で1千㌧級以上の大型船舶はわずか40隻で、海保の同51隻を下回っていた。ところが、22年末には中国海警局の1千㌧級以上の・・・

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