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社会・文化

「核テロ防止」に躍起の米国

「先端技術」で日本に協力要請

2010年12月号

 十一月十三日に横浜で行われた日米首脳会談の約二週間前、米ホワイトハウスのオバマ大統領から、東京の菅直人首相に極秘メッセージが届けられた。「日米両政府は核セキュリティーの作業グループ設立へ向けた取り組みを進めている。日本の協力は重要で、今後とも議論を続けていきたい」。
 核セキュリティー―。核兵器に転用可能なプルトニウムやウランといった核物質、さらには放射能被害による社会混乱を狙った「汚い爆弾」の原料となるセシウムやコバルトなどの放射性物質の防護・保全を図り、核テロ発生を阻止する措置のことを指す。
 昨年四月にプラハで「核なき世界」を目指すと宣言したオバマ大統領は一連の核政策の中でも、この核セキュリティーに最大限のエネルギーを傾注している。米大都市での核テロ発生という最悪の事態を何より恐れているからだ。
 劣化が指摘される日米同盟だが、この核セキュリティー分野に関しては、オバマ政権は被爆国日本がなし得る貢献に特別な期待を寄せる。それは冒頭に紹介した大統領の極秘メッセージに表象されている。現に横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて開かれ・・・