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経済

世界の「産油国勢力図」が一変へ

米国をトップに押し上げる「砂岩」大油田

2011年1月号

 日本人で気付いている人はまだ少ないものの、「石油は中東」という常識が早ければ二〇一一年中にも修正を迫られる可能性が出てきた。〇九年から一〇年にかけて世界の産ガス国を襲ったシェール・ガス革命のインパクトは本誌で報じた通りだが、同じような地殻変動が今度は石油の世界でも起きようとしている。硬く固まった砂岩(タイト・サンド)の中から石油を取り出すタイト・オイルの実用化が、一〇年後半からいよいよ始まったのだ。
 タイト・オイルの埋蔵量は在来型石油の埋蔵量一兆三千億バレルの実に五倍以上。しかも北米大陸に偏在している。商業化の際のカギを握る石油価格の動向も高値推移が当面は続く見通しで、この非在来型石油の台頭が世界の産油国勢力図を一変させようとしている。

米国本土に大量に存在


 世界の石油需要は中国、インドといった新興経済発展国の高度経済成長によって急増し、いまや日量九千万バレルの大台目前の八千八百万バレルという状況にある。その一方で、在来型石油の開発・生産の状況は厳しさを増している。「油田掘削が容・・・