三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

「求心力低下」トヨタ章一郎と章男

いまや社内は「戦犯あつかい」

2011年1月号

 エコカー補助金メッキが剥がれて以降、トヨタ自動車の「独り負け」が止まらない。二〇一〇年十月の国内乗用車生産が前年同月比二二・四%減と三十三年ぶりの低水準に落ち込み、輸出も米国向けの同一九・三%減をはじめ、欧州、豪州なども減少、海外生産は二カ月連続でマイナスを記録している。二〇一一年三月期は三千八百億円の営業黒字を捻出する見通しだが、この黒字とてホンダの五千億円や日産の四千八百五十億円に比べると大きく見劣りする。「トヨタの規模を考えると、ホンダ、日産並みの経営をすれば一兆円近い営業利益が出ても不思議ではない。それだけ利益が出ない体質になっている」と、証券アナリストは分析する。要は生産力の過剰だが、豊田章男社長は一向にリストラに踏み切ろうとしない。「創業家出身社長であれば大胆な構造改革をしてもらえるのではないかと思ったが、とんだ期待はずれだった」と、協力企業幹部は肩を落とす。
 販売は上向かず、過剰設備にもメスが入らないまま、部品メーカーなどへの厳しいコストダウン要求で辛うじて利益を出している状態に、これまで忠実だった系列企業からも「痛みを強いられるばかりで、トヨタ本体に・・・