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政治

「余命半年」を切った菅政権

「陰の代表」仙谷が延命装置に

2011年2月号

「三月ぐらいからガタついて六月にはお陀仏じゃねえか」
「私もそう思います」
 一月十七日、夜。銀座の料理屋。こんな会話を交わしていたのは安倍晋三、麻生太郎の両首相経験者だ。ともに首相時代の秘書官を同道していた。安倍は参院選で惨敗の後、体調を崩して退陣。一方の麻生は衆院解散のタイミングを逸して民主党に政権交代を許した張本人。いわば自民崩壊の「A級戦犯」といっていい。その二人が首相菅直人の・寿命・について語らう。ブラックユーモアに近い光景だが、今や「菅はいつまで持つか」は永田町のあいさつ代わりのフレーズになっている。
 そんな空気の中で一月二十四日、第百七十七回通常国会が召集された。菅直人は初の施政方針演説で声を張り上げた。
「今度こそ、熟議の国会となるよう、国会議員の皆さんに呼びかけ、私の施政方針演説といたします」
 昨年の臨時国会で体験した「ねじれ国会」の厳しさが骨身に染みたのか、国会冒頭から「SOS」を発信する異例のスタートとなった。だが、菅を取り巻く状況は昨年の臨時国会の時とさして変わらない。いやむしろ悪化したと見た方がいい。・・・