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「ノーベル平和賞」受賞者に不正疑惑

バングラのムハマド・ユヌス

2011年3月号

「銀行の借り手である七百万人の貧困者の代表として、私はノルウェーのノーベル賞委員会に今回の受賞に対し感謝を述べたい」
 ムハマド・ユヌス氏は五年前、こう語りオスロで拍手喝采を浴びた。グラミン銀行を創設し、マイクロクレジット(貧困層に対する小口貸し付け)の父と呼ばれるユヌス氏は三十五年もの間、バングラデシュの貧困問題を解決すべく数々の困難をはねのけ、同国経済を牽引してきた。その同氏に昨年十二月以降、かつてない猛烈な逆風が吹いている。同氏を失うことになれば、彼のカリスマ性に依存してきたグラミングループそのものが存在意義を失いかねない。「新しい資本主義の体現者」とその信奉者たちは、強大で執拗な敵によって絶望の淵に追い込まれている。

ユヌス潰しに乗じる政府


「グラミン銀行に不正疑惑」
 昨年十二月初め、衝撃のニュースがバングラデシュを駆け抜けた。しかし、この怪情報の取り扱いには慎重さを要した。「本紙デイリースターはこの記事を報道するのに一日置いた。読者に十分説明する義務があるからだ。・・・