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政治

野党さえ務まらぬ「無能」自民党

不毛なる世代間抗争に明け暮れる

2011年6月号

 東日本大震災の発生から二カ月あまりが過ぎた五月十六日夕、自民党総裁の谷垣禎一は以前から予定していた会合への出席をキャンセルして、自民党本部四階の総裁室にこもって会議を開いていた。同席していたのは、幹事長の石原伸晃ら党執行部の面々。会議の終わりに、石原が眉間にしわを寄せてうめいた。
「やっぱり話が違いますねえ」
 これに呼応するように谷垣も天を仰いで言った。
「全然足りないじゃないの」
 谷垣らが協議していたのは、自民党が内閣不信任決議案を提出した際に、民主党の中からどの程度の賛成者が出るのかという票読みだった。不信任案の成立には民主党議員七十人超の造反が必要だが、この日、自民党は、役員がそれぞれ民主党内の内通者らから入手した情報を分析したところ、「現時点で不信任案を提出した場合、もっとも甘く見込んでも民主党からの造反は三十人程度にとどまる」(党幹部)との結論に達したのだった。
 春の大型連休前の段階で、民主党元代表の小沢一郎の側近議員から聞かされていた話では、造反議員は百人を超えるはずだったのに……と・・・