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経済

《企業研究》東芝

それでも「原発」でいくしかない

2011年7月号

 東京電力福島第一原子力発電所事故は電力業界にとどまらず、日本の産業界に様々な打撃を与えている。なかでも東芝、日立製作所、三菱重工業の原子炉メーカー三社が受けたダメージは超弩級といってよい。
 ただ、影響度は三社の中でも濃淡がある。最大の影響を受けているのは「原子力」と「半導体」を経営の二本柱と位置づける東芝だ。国内では東電向けを中心に沸騰水型軽水炉(BWR)を長年手がけ、二〇〇六年には加圧水型軽水炉(PWR)メーカー、米ウェスチングハウス(WH)も買収し、世界で唯一、両方の炉型を供給できる総合原子炉メーカーとなっているからだ。「フクシマ」から広がった「反原発」「脱原発」が世界各地で定着すれば、東芝の屋台骨が揺らぎかねない。

負うべき責任は限定的だが


 今回の福島第一原発事故で東芝、日立など原子炉メーカーが負うべき責任は限定的だ。原子炉の冷却を担う装置を駆動する電源が予備のディーゼル発電機も含め、全面喪失に陥ったのは、外部電力のケーブル、発電機、燃料タンクのレイアウトなど発電所の全体設・・・