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「IAEA天野」に噴出する批判

いまや「日本はずし」の象徴的存在に

2011年7月号

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、世界の核の番人である国際原子力機関(IAEA)と、天野之弥事務局長に対して、「日本政府に甘すぎる」との批判が、IAEAの中核メンバーの間で強まっている。その中心である米欧は、日本政府への配慮から公然たる批判を避けているものの、原子力産業に関する国際舞台から、天野事務局長のプレゼンスを減らす画策に乗り出した。
 今年六月上旬、パリで開かれた経済協力開発機構(OECD)などが主催する会合で、目を引く一コマがあった。原子力産業の国際安全基準を話し合う閣僚級会議で、OECD加盟国のほか、インドや中国など三十カ国以上の政府高官が集まった。ところが、「核の番人」IAEAの天野事務局長は、ビデオでメッセージを流しただけ。ウィーンで同時にIAEA理事会があり、これだけ重要なパリの会議に参加できなかったのだ。ビデオの内容はほとんど検討されず、その不在ばかりが注目された。
 IAEA担当の邦人記者は、「日本外務省もIAEAも、『パリ会議の日程が意図的に仕組まれた』との臆測を強く否定していますが、原発安全性問題で、米国とフランスが主導権・・・