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インドで「ヒンズー至上主義」が台頭

泥沼「政界腐敗」が背景に

2011年7月号

 政界の汚職問題が泥沼化するインドで、腐敗一掃を求める大衆的なハンガー・ストライキなどの抗議運動に、ヒンズー教急進主義の不気味な影がちらつき始めた。中国に次ぐ高成長を維持するインドだが、急激な社会変化の裏でヒンズー至上主義が台頭しているといわれる。イスラム教徒や外国企業を敵視する排他的集団もあり、今後の展開次第では、現地進出企業がテロの標的になる恐れもある。

爆弾テロへの関与疑惑


 政府への大衆的な抗議のハンストは四月に始まったが、この動きに著名なヨガ行者、ババ・ラムデブ氏が加わってから、不穏な雲行きとなってきた。ラムデブ氏のバックには、ヒンズー至上主義組織「RSS」が深く関与しているとみられているからだ。
 RSSは、「民族奉仕団」または「民族義勇団」を意味するヒンディー語の略称だ。一九二五年に創設され、四八年にインド建国の父ガンジーの暗殺との関連を問われ非合法化されたが、七五年に再度合法化された。現在の最大野党であるインド人民党(BJP、八〇年に結成)はRSSが母体となって作られた・・・