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「黄金の三角地帯」復活の兆し

イスラム系テロ組織が関与か

2011年7月号

 東南アジアで「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」を中心とする麻薬密売ルートが再構築されている。そして、その流通ルートにイスラム系テロ組織が関与していると指摘されている。さらに、このルートは底流で、アフガニスタンやパキスタンなどのテロネットワークとも結びついているとされ、国際社会は「テロとの戦い」の新局面として「麻薬との戦い」にも迫られようとしている。
 タイ政府麻薬撲滅委員会は今年初めに、麻薬撲滅に全面的に取り組む方針を国内外に向けてアピールした。アピシット政権による取り締まりの最重要強化地域として、主にタイへの密輸入の主要ルートとなるチェンマイなどのほかチェンライ、メーホンソンなど北部県が挙げられている。注目すべきは、これに加えて、南部のナラティワート、パッタニーなどが並んでいる点だ。
 北部三県はゴールデン・トライアングルに隣接する地域であることはいうまでもないだろう。一方で南部の県は、イスラム系反政府武装組織による爆弾テロ事件や銃撃事件が相次ぎ、多数の死傷者が出ている地域である。
 タイ治安当局は最近、南部を経由してマレーシアに流・・・