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政治

「脱原発解散」に怯える自民党

カネも勝算もない「八方塞がり」

2011年7月号

 六月二日の内閣不信任決議案と二十二日の通常国会の会期延長をめぐる政治攻防は、首相、菅直人の完勝に終わったと言っていいだろう。自民党や民主党の反菅勢力は「菅降ろし」の絶好機を逃した。粘りに粘って居座り続ける菅を前にして、民主党は混乱状態に陥っているが、それと同じくらい崖っぷちに立たされたのが自民党だ。
 六月十六日夜、東京・赤坂の中華料理店で、複数の自民党議員がマスコミ関係者と懇親会を開いた。話題の中心は、ほかでもない菅の延命戦術。東北地方選出ではないが、地元に原子力発電所を抱える若手議員が音を上げた。
「もし、菅が脱原発を争点に解散を打ってきたらどうなると思う?ウチの県は終わりだ、自民党はボロボロですよ」
 東京都選出の中堅が応じた。「東京だって、相当厳しい」。
 脱原発解散――。現時点で脱原発を進めれば、電力供給不足、電力料金値上げなど産業界や市民生活に悪影響が及ぶだろう。その半面、福島第一原子力発電所事故以来、国民の「原発アレルギー」は頂点に達している。菅内閣の現在の評判は最悪だが、それでも脱原発を掲げて、菅が解散総選挙という勝負に打・・・