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連載

西風 362

関西電力の節電要請騒動
八木亜夫

2011年7月号

 


 関西電力が、企業・家庭を含めた全顧客に今夏の一五%節電を要請したことに、自治体が猛反発する騒ぎになっている。夏の節電については、関西広域連合が五%から一〇%の節電方針を決め、住民に呼びかけていたが、ここにきて、だしぬけに関電から一方的に一五%節電を言い渡されるのは、首長としては承知できない。東日本大震災のあと「脱原発」を唱えてきた橋下徹大阪府知事は「原発を動かさないと一五%節電になりますよ、という脅しだ。従うわけにはいかない」とカンカン。ほかの首長も「一五%の根拠があいまいだ」と、そろって拒否を表明。
 関電の原発十一基のうち、このままだと六基が夏には使えなくなる。定期検査中の原発の再稼働がなおも認められないと、来年の二月には、全原発が止まる事態になる。加えて火力発電所のトラブルもあり、昨年のような猛暑になると、ピーク想定需要三千百三十八万キロワットをとてもまかなえないという。しかし、首長たちは、この積算根拠はあいまいで、おおげさだと反論。すると、関電は「鉄道などには一律節電の方針を緩和する」と応じたために、話がよけいややこしく・・・