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WORLD

アジア経済も「転落」の瀬戸際

バブル経済「崩壊前夜」の様相

2011年10月号

 今、世界で最も勢いのある経済地域がアジアであることを否定するビジネスマンは世界にいないだろう。中国、インドだけでなく、ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアのほぼ全域でインフラ建設が猛烈な勢いで進み、食品、日用品、家電、二輪車、自動車などが売れ行きを伸ばしている。現状をみる限り、今後十年、二十年の右肩上がりの成長は約束されたもののようにみえる。だが、立ち止まって冷静にアジアの成長要因をみれば、「巨大な人口パワー」以外の要素を見いだすことはできない。先進国の企業、金融機関が創り上げた「成長幻想」にアジア地域の為政者、企業経営者自身も酔い、目的とゴールのみえない投資を続けているだけだ。今、日米欧の経済が同時に落ち込むなかで、アジア経済が知らず知らずのうちに転落の瀬戸際に立っていることを認識すべきだろう。

「不気味なインフレ」の高進

 アジア経済を覆い始めた暗雲を実態面で最もよく示すのはインフレの高進だ。中国は六月以降、消費者物価指数(CPI)が三カ月連続で六%台に乗り、インドは八月の卸売物価指数が九・八%、ベトナムは七月のCPIが二二・二%に達した。インドネシア・・・