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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》利権と化した「除染事業」

まんまと焼け太る「原子力村」

2011年11月号

 十月二十日、二十一日の両日、福島県二本松市の男女共生センターで開かれた県主催の「第三回除染業務講習会」には、作業着やユニフォーム姿の建設業者、塗装業者ら百人の受講者が詰めかけた。
 この日参加した百人はいわば、選ばれた「精鋭」だ。この除染業務講習会には定員の約五倍の応募が殺到し、結局五人に一人しか受講できなかったという。「受講者の約三分の二が建設・建築業者や塗装業者。高圧洗浄機や重機などの保有設備がそのまま使えるメリットがあるためでしょう」(県の担当者)。

 実際、民間では、「にわか除染業者」が次々と誕生している。福島県内の業者六社が集まって「県放射性物質除去協同組合」も設立された。彼らは既存の高圧洗浄車やビルの浄化装置を使って除染を行うという。

 だが、応募者殺到の理由はそれだけではない。この講習会の「受講修了証」こそ、国などの除染事業にありつくための「通行手形」となっているからだ。なにせ、ゆくゆく数兆円規模に膨らむと予想されている除染事業だけに、群がる業者側も必死だ。

 当初、受講修了証を持つ従業員・・・