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政治

「皇室典範改正」野田は本気か

「女性宮家創設」さえ難題山積

2012年1月号

 野田佳彦首相が「女性宮家」創設について「皇室活動の安定性という意味から緊急性の高い課題」と表明し、皇室典範改正に前のめりとなっている。確かに、世界最古の「王家」である皇室を擁し、憲法第一章に「天皇」を掲げるわが国にとって安定的な皇位継承問題が重要であるのは間違いない。  だが、野田内閣はただでさえ東日本大震災からの復旧・復興、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)……など数多くの課題を抱えている。  どれも竹下登元首相がいう「一内閣一仕事」に当たる大事業であり、この上、国論を二分しかねない皇室典範改正問題に取り組む余力が野田内閣にあるのか。首相にはいったいどんな計算があるのか。  与野党議員の多くが「なぜこの時期に」と首をひねり、官邸関係者も行方を危ぶむ中で、首相一人の意欲が際立っている。 「一般論で言えば、審議会や有識者会議を設けるのか、専門家に個別に聴いていくのか、いくつか方法がある。どの方法を採るか検討している」  藤村修官房長官は二〇一一年十二月十四日の記者会見でこう述べ、年明けから皇室典範改正に関して有識者・・・