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連載

続・不養生のすすめ 13

厚労省「食事摂取基準」のでたらめ
柴田 博

2012年1月号

年末年始はご馳走続き、食べ過ぎや飲み過ぎが気になる読者諸氏も多いことだろう。

 さて、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準」なるものが出されている。二〇〇五年版もあるが最新のものは二〇一〇年版である。筆者は常々、この指針に不信を抱いている。まずタイトルがおかしい。この指針には、食品(物)や食事のことが皆無といってよいほど何も述べられていない。基準はもっぱらエネルギーと栄養素について示されている。食品の摂取に関しては、わが国でも農林水産省から「食事バランスガイド」という指針が出されている。こちらがまさに食事摂取基準ということになるのである。

 実は、本稿で指摘したいのは、この厚労省の「食事摂取基準」に従うと適切な食品選択、つまりバランスのよい食事ができないという点だ。基準は、男女別、年代別に示されている。推定必要総エネルギー量が比較的少ない高齢者においては、問題が少ない。しかし、必要総エネルギーの多い若い年代と高齢者で同量のたんぱく量を推奨しているため、若い年代の食品選択は目茶苦茶となるのである。

 各栄養素別に十あまりの・・・