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社会・文化

瀬戸際に立つ「米ボクシング界」

長すぎる「ヘビー級低迷」

2012年1月号

 現在、世界のボクシング・ヘビー級は、ウクライナ出身のクリチコ兄弟の「統治下」にある。WBA、IBF、WBOのタイトルは弟のウラジミールが、WBCタイトルは兄のビタリが保持している。ウラジミールが、二〇一一年七月にWBAの王座を奪い、いわゆる「主要四団体」の王座を兄弟で独占した。  実際、彼らはランキングに名を連ねる選手たちを寄せ付けない強さを発揮している。欧州では防衛戦のたびにスタジアムが四万~五万人の観衆で埋め尽くされるスーパースターだ。  しかし、世界のボクシング界の本場である米国で、彼らがビジネス的に成功しているとはいえない。 兄は二百三センチ、弟が百九十八センチという体格に恵まれながら、彼らのボクシングはジャブを中心とした「基本的」なファイト・スタイルだ。  その慎重過ぎるスタイルは、米国人にとって退屈だ。実際ウラジミールは〇八年二月、ビタリは〇九年九月を最後に米国内で試合を行っていない。  多額の資金力を背景に米ボクシング界を事実上牛耳っているプレミアテレビ局「HBO」もクリチコ兄弟の売り出しには消極的になっている。一〇年には当時の同局スポーツ部門・・・