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オバマは「大きな政府」へ邁進

「経済ナショナリズム」に傾斜

2012年2月号

 十一月のアメリカ大統領選で再選を目指すバラク・オバマ大統領が、リベラル路線に大きく舵を切った。二〇一二年の年明け早々に、共和党との協調路線の要だったビル・デイリー首席補佐官を交代させた上、一月二十四日の一般教書演説では、連邦政府が経済再生と貧困層救済の推進役になることを公約した。民主党は近年、中道票取り込みのため、リベラル色を消すのに躍起だったが、オバマ陣営は選挙戦を「二つのビジョンの間の選択」と位置付け、「大きな政府」への回帰に邁進している。

首席補佐官は「リベラルの権化」

 年初の米政界は、共和党の大統領候補選びにどうしても注目が集まる。だが、水面下でより積極的に動いたのは、現職のオバマ陣営だった。共和党にパイプが太く、大統領にも忠実だったデイリー首席補佐官に、わずか一年で引導を渡した。 「デイリー氏は、一〇年の中間選挙での歴史的大敗を受け、議会共和党との間で超党派合意を実現させた。クリントン政権では商務長官を務め、経済界との橋渡し役として、これ以上の人物はいない。その実力者を外すのは、オバマ陣営が左旋回に並々ならぬ決意で臨む証し」と、米政治記者は・・・