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社会・文化

東電「地方議会工作」の 呆れた実態

現役社員が「議員」になって利益誘導

2012年2月号

 国民の間の根深い不信をよそに、身を切るような経営合理化もないまま、早々に原発事故のツケを国民に押し付けるがごとき電気料金値上げを目論む東京電力。同社をめぐっては、これまでも政治と一体化した利益誘導の実態をつまびらかにしてきたが、ここにきてまた一つ、胡散臭い政治工作の実態が発覚した。各地の地方議会に、社に籍を置いたままの「現役社員」を議員として送り込み、給料を支給しながら原発推進活動などを展開してきたというのだ。現役東電議員の数は、本誌が確認できただけで十九人を数える。当然ながら、有権者はその素顔を知らない。東電による東電のための地方議会工作、その一端を報告しよう。

議員報酬と給与の二重取り

「取材でちょっとお尋ねしたいことがあるんですが」 「はい。なんでしょう」  一月半ば、筆者は石黒達男氏という民主党の練馬区議会議員に電話をかけた。昨年四月、東日本大震災の余韻がまだ生々しい最中に行われた統一地方選に出馬し、初当選した新人議員だ。石黒氏に連絡したのは彼の経歴を確かめるためだった。HPに書かれた略歴はこうだ。 〈平成五年東京電力?入社 以降、・・・