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WORLD

米財務省の深刻な「人材離れ」

金融・財政政策の中核が「空洞化」

2012年3月号

オバマ米大統領の下で、世界金融危機のクライシス・マネジメントに当たった金融専門家が、次々と政権を去っている。その中核は、ウォール街から緊急招集されたプロ集団で、任務終了を見越して古巣の金融業界に戻っている。大統領が再選されたとしても、二期目は、ティモシー・ガイトナー財務長官を筆頭に財務省幹部がごっそり抜けることになり、政府と金融業界の力関係も、後者に大きくシフトすることになりそうだ。

高官ポストの三つがすでに空席

 予算教書直後の議会公聴会は、大荒れが常だが、今年はその域を超えた。二月十七日の下院予算委員会で、共和党のポール・ライアン予算委員長が自らまとめた「繁栄への道」を前面に出して、その利点を説明し始めると、証人席のガイトナー財務長官は、それを遮って言った。「私は(財政赤字削減の)切り札があると言いに来たわけじゃない。分かっているのは、私たちはあなたの計画が好きじゃないってことです」。  ライアン委員長は、まだ四十二歳ながら、政策通として知られる共和党期待のスターの一人。その彼が、ガイトナー長官の無礼かつ率直な物言いに、顔色をなくし、言・・・