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WORLD

革命乗っ取った「ムスリム同胞団」

米国とは奇妙な「蜜月関係」

2012年3月号

「アラブの春」と呼ばれる民衆蜂起の嵐が始まって一年以上経ったが、「革命」は現在も二つの段階で並行的に進んでいる。  シリアやイエメンに代表されるように、いまだ既存政権の打倒がならず、目を覆う殺戮と混乱が続いている国がある一方で、エジプト、リビアのように革命が形式的には成就したものの、新しい体制づくりをめぐって熱い戦闘や水面下での心理戦が戦われている国もあるのだ。そして皮肉にも、すべての国に共通していることは、現在も未来も、全く明るさが感じられないという閉塞感であろう。  教育水準が比較的高く、穏健な国民性を有するチュニジアで、やや落ち着いた国づくりを見ることができる他は、全ての国で「『革命』とはそもそも何であったのか」「民衆の苦悩と混乱が深まっただけ」「明るい未来像が描けない」といった評価が固まりつつある。

東地中海地域は同胞団一色

 その元凶となっている政治勢力が「ムスリム同胞団」だ。これは決して言い過ぎではなかろう。一月半ばに終了したエジプト人民議会選挙では、同胞団を母体とする自由公正党が四百九十八議席中ほぼ半数の二百三十五議席を・・・