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経済

トヨタの「利益なき繁忙」深刻に

「GM破綻前夜」と酷似

2012年3月号

トヨタ自動車の収益構造悪化が、ますます深刻になっている。二〇一二年二月に発表された一二年三月期通期予想では、本業の儲けを示す連結営業利益を従来の二千億円から二千七百億円へ上方修正して収益回復をアピールしてみせた。だが、真の問題は目先の利益額ではなく、本業である自動車部門の「流血」が一向に止まる気配がないという収益構造にある。  本業の自動車で儲けることができず、金融部門でなんとか利益を捻出しているのがトヨタの現状だ。これは米ゼネラル・モーターズ(GM)が破綻直前だったころの状況と瓜二つ。まさに現在のトヨタは「第二のGM」への道をフルスロットルで突き進んでいるといっても過言ではない。  トヨタの一一年四~十二月期連結決算は、売上高が前年同期比一〇・二%減の十二兆八千八百十一億円、営業利益は同七二・三%減の一千百七十一億円に落ち込んだ。衝撃的な業績の落ち込みだが問題はさらに根深い。営業利益のうち、実に二千二百六十四億円が金融部門によるもの。つまり金融部門の利益を、それ以外の部門が食い潰しているということだ。

もはや「金融」でしか稼げない

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