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制裁されるインド「自主独立外交」

イランと「寄り添う」路線に限界

2012年5月号

「インドは、国際法を犯すことなくイランから原油輸入を続けるだろう。米国とEUにはインドの石油需要を理解するよう求めている」  印レディ石油相は三月、記者団の前でこう述べた。インドにとってイランはサウジアラビアに次ぐ第二位の原油供給国で、原油輸入量に占める割合は一二%。逆にイランの輸出量に占めるインドの割合は二〇%という相互依存関係にある。ついに今年一~三月期は中国を抜いて「イラン産原油最大の輸入国」にまでなっている。大国意識に裏打ちされた「自主独立外交」のもとに、イランに寄り添い続けてきたインドの姿は米国と世界を驚かせている。だが、強まる欧米諸国の金融制裁を前にして、頑ななインドの「世界秩序との戦い」にもいよいよ「限界」が見え始めているようだ。

「強気の政府」と「現実を見る企業」

「インド企業によるイラン原油輸入の決済に関してアジア決済同盟(ACU)の利用を禁ずる」  戦いの始まりは二〇一〇年十二月二十三日、インド準備銀行(RBI)のこの声明だった。ACUはイランに本部を置く南アジア域内貿易決済の組織。イランの原油決済もこれを通じて行・・・