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政治

《罪深きはこの官僚》 三谷秀史(拉致問題対策本部事務局長代理)

北朝鮮情報収集混乱の元凶

2012年5月号

 昨年末の金正日総書記死去に続き、四月十三日に行われた北朝鮮のミサイル発射でも、首相官邸は「インテリジェンス崩壊」を露呈した。対北情報収集の司令塔になるべき官邸の「拉致問題対策本部」に批判が集まっている。
 三谷秀史は拉致対の事務方トップの事務局長代理だ。拉致対は、警察、公安調査庁、外務省の「寄せ集め」(外信部記者)であり、出身母体が異なる職員同士の情報共有がうまくいっていない。さらに、「三谷が官邸内で別の警察キャリアと対立することで、機能不全に陥っている」(政治部記者)という。
 これは拉致対の「予算未消化問題」に如実に表れる。約十二億円(二〇一一年)の予算がついているが、その大半が執行されておらず、情報収集のために充てられるという九億円について、拉致対関係者は「使う雰囲気にない」と漏らす。昨年末、拉致対職員の一人が脱北者に情報料として百万以上の金を渡したケースでは、事後の経費請求が認められなかったという。「その脱北者は札付きの詐欺師として一部では有名だったが、情報が共有されていなかった」(前出外信部記者)ために起きた事態だ。この結果、予算は使途の明確な「領収書」・・・