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中国「反体制ネットワーク」の不気味

もはや党も防ぎ切れない

2012年8月号

 今年六月、北京市中心部のスターバックス・コーヒーで、筆者は中国の人権活動家の胡佳と待ち合わせた。胡は、ノーベル平和賞の有力候補にもなった中国を代表する活動家の一人で、二〇〇八年に国家政権転覆扇動罪で懲役三年六カ月の判決を受け、昨年出所した。  胡と会った店舗の入り口には、怪しい男が四、五人たむろして、動向に目を光らせている。男たちは、公安局の秘密警察「国内安全保衛隊」だ。略称「国保(グオバオ)」と呼ばれ、盗聴、尾行、妨害、暴力など手段を厭わない。特に人権派弁護士や民主活動家らが複数で集まったり、外国大使館や海外メディアと接触したりすることを警戒している。ある国保の一人は以前、胡にこう漏らしたという。 「今年は二月から十一月まで毎日が『敏感な日』だ」 「敏感な日」とは、民主活動家や陳情者らが「団結」を強めかねない節目を公安当局者がマークする重要な日のことだ。北京の指導部は、秋の共産党大会まで「維穏」(治安維持)に腐心している。

「欧米」と「網民」の支援

「維穏」を統括する党中央政法委員会書記・周永康(政治局常務委員)は七月十七日・・・