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経済

不興買うイオンの東南アジア事業

現地でまき散らす「災厄」の数々

2012年9月号

 日本最大の小売りチェーン・イオンが東南アジアへの進出を加速させている。すでに出店済みのタイとマレーシアに加え、今後はベトナム、カンボジア、ミャンマーなどにも順次出店していく計画で、目指すは「アジアナンバー1のリテーラー」と鼻息も荒い。  だが、その勇ましい掛け声も空しいばかりに、内情は厳しい。成功といえるのは年間売上高一千億円を稼ぐマレーシア一カ国くらいで、タイに至っては地場資本や欧米系外資に追われる形でジャスコは撤退、マックスバリュ(MV)を展開するも売上高は二百億円程度と鳴かず飛ばずだ。そんな本業で苦戦を強いられるイオンが昨今、「窮余の策」として強力に推し進めているとされるのがローンなどの「割賦販売事業」と「貸金事業」である。クレジットカードやローン販売を抱き合わせにすることで「潜在需要を喚起させる戦略」(イオン関係者)だが、これが現地で大変な不興を買っている。  無理な支払い計画で「ローン漬け」にされた消費者が続出、購入品の差し押さえや多重債務者に追い込まれるケースも伝わっており、一部で深刻な社会問題を引き起こしている。「禁断」の戦略に手を染めるイオンに対しては、事・・・