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社会・文化

欠陥だらけの土地税制

徴税率「九三%」のまやかし

2012年9月号

 総額九兆円―。二〇一〇年度固定資産税は市町村税(二十兆円)の最大税目で、四四%を占める。増税論議が喧しい昨今、この重要な地方財源が今、虫食い状態で放任されていることは知られていない。問題の端緒の一つになっているのが外国人土地売買の動きだ。  彼らの動きは依然活発だ。ここにきて、外資に買収された土地が別の外資へ転売されるケースも増えている。転売される土地の地価上昇はすさまじく、北海道倶知安町の物件は一カ月で六倍、ニセコ町の物件は四カ月で三倍と、もはや投機商品になりかけている。ブローカーは中国人を役員幹部に迎え入れている。ダミー法人を介したり、会社ごと買収して行先不明の法人にしてしまう事例なども合わせると、外資の国土買いは公表数値の数倍~十倍程度あると考えた方がよい。こうした相次ぐ転売を行政が追い続けるのは至難の業だ。ましてや相手が外資(外国人)であれば、居所不明になると事実上捕捉は不可能であり、固定資産税逃れが横行し始めているのだ。  もちろん、固定資産税逃れは外国人の土地売買に限った話ではない。「相続しても登記簿名義をそのままにしておけば固定資産税(の徴収)は追っかけてこ・・・