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WORLD

知られざる米「民主主義布教団体」

世界中にカネをバラまく「基金」の実態

2012年12月号

 ワシントンの米連邦議会で九月、ミャンマーの民主化運動に貢献してきた同国の五人の活動家を表彰する式典があった。訪米中の民主化運動指導者アウンサン・スーチー氏が来賓として臨席した式典の主催者は、ワシントンに本部を置く「米国民主主義基金(NED)」という。  ミャンマーで今年四月に実施された国会議員補欠選挙で、スーチー氏率いる国民民主連盟が圧勝したことは、軍事政権の弾圧下でも民主化勢力が健在だった事実を示した。では、なぜ同国の民主化運動は二十年以上に及ぶ弾圧下でも命脈を保ち得たのか。活動家たちの不屈の精神だけで民主化運動は継続できただろうか。  その疑問を解くカギを握るのが冒頭で紹介したNEDだ。日本では存在自体があまり知られていないが、レーガン政権時代の一九八三年に設立され、今や世界九十カ国以上で一千を超える民主化団体に資金を提供する世界最大の民主化支援財団である。

財源の九九%は「国家予算」

 NEDは一九九〇会計年度にミャンマー人学生組織に五万二千ドルを供与して以降、支援を広げ、二〇一二会計年度には五十団体に計三百四十万ドルを提供した。・・・