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インドで政権交代の機運

功罪相半ばの首相候補が台頭

2012年12月号

「財政赤字と経常赤字、この双子の赤字が物価上昇の要因だ」。インド中央銀行スバラオ総裁は十月の金融政策決定会合で利下げを見送った後、お決まりの台詞を力なく述べた。政権に向ける国民の視線が厳しくなる中、十月二十八日に行った内閣改造で与党国民会議派は、次期首相候補としてのガンジー家御曹司ラフルの入閣を見送り、温存するという策に出た。相次ぐ連立離脱も痛手となり、改革を打ち出してきたマンモハン・シン政権は急速に翳りを見せている。  こうした中、国民そして世界の耳目が一人の人物に集まっている。中道右派の最大野党インド人民党(BJP)幹部で、インド西部グジャラート州首相のナレンドラ・モディだ。独立の父ガンジー、初代首相ネルー、その娘で首相となったインディラ・ガンジー、これらTIME誌の表紙を飾ったインドの政治家は紛れもなく・大物・だった。だが、「Modi means business(モディは冗談ではなく本気だ)」とのタイトルで今年三月、表紙を飾ったのは一介の地方政治家に過ぎない。「ビジネスサミット」を開催して海外のカネを集めるなど、経済界では目立つ存在だったが、「BJPの首相候補の一角」とし・・・