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政治

山梨「輿石王国」の崩壊

支持母体「県教組」の団結にも綻び

2012年12月号

「近いうち」の下野が確実視される民主党内で、公然と「やはりあの人がダメだった」とささやかれるのが輿石東幹事長だ。野田佳彦首相が党内融和と自民党とのパイプ役を期待して参院から異例の幹事長に抜擢したものの、全く役に立たなかったというわけだ。 「この九月、『輿石氏続投は百害あって一利なし』と書いた新聞があったが、当たっていた。何もできない。いいところがない」  民主党の中堅議員はこう振り返る。実際、幹事長としての輿石氏の実績は思い浮かばない。 「(幹事長として)責任を感じている。責任を取るためにも、選挙は自分が陣頭指揮を執る」  輿石氏は衆院解散前日の十一月十五日、こう意気込んだ。だが、実際はほとんど候補者の選挙応援に呼ばれることもなく、街頭演説の日程も入らず、党本部に閉じ籠もっている。テレビ出演ももっぱら安住淳幹事長代行がこなす。  もともと輿石氏は、山梨県教職員組合執行委員長を経験した旧社会党出身議員で「日教組のドン」だ。その輿石氏を「保守政治家」を自任する野田首相が幹事長に起用したときには「妙手だ」とほめそやす向きもあったが、今はむなしい。  実のところは、・・・