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社会・文化

至高の「シャンパーニュ」を飲もう

畑と農民が醸し出す「極上ワイン」

2012年12月号

 祝祭のお酒シャンパーニュ。年末に開ける習慣がすっかり定着した。日本は今や世界五番目の輸出市場。女性ファンが支えているが危惧感もある。まずいシャンパーニュがあふれているからだ。  最初に定義しよう。シャンパーニュは仏シャンパーニュ地方で生産される発泡性ワインをさす。一般的にシャンパンと呼ばれるのは、米国の呼び方の名残。産地名が起源である以上、シャンパーニュと呼びたい。  シャンパーニュは危ういワインだ。格が上がるような幻想を抱かせる。ゴールドとブラックを多用したラベルと重厚なボトル。メゾン(生産者)がふりまく華やかな逸話。うたい文句をうのみにし、広告コピーに等しき記事を垂れ流すライフスタイル誌。フルートグラスで飲めば、黄金の泡が立ち上り、一二%台の低いアルコール度もあって、体が浮き上がるような軽い酔い心地に浸れる。飲む自分に酔うのも無理はない。  お酒は嗜好品。人それぞれだが……それで満足してはもったいない。例えて言うなら、寿司マニアの米国人が来日して、回転寿司チェーンを絶賛していたら、本物の寿司屋を教えたくなるだろう。日本にはせっかく多彩な造り手が輸入されているのだ・・・