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欧州の時限爆弾「不良債権問題」

債務超過「ゾンビ企業」が急増中

2013年2月号

 債務危機が続くユーロ圏に、新たな火種が広がっている。本来なら倒産している企業が、国と金融機関の助けで生き延びる「死に体企業」の急増だ。特にイタリア、スペインなど重債務国で増えており、欧州経済再生の深刻な障害になっている。  二月二十四~二十五日に迫ったイタリア総選挙は、マリオ・モンティ首相の参戦で熱気を増した。一月半ば、テレビのインタビューに登場したモンティ首相は、シルビオ・ベルルスコーニ前首相を「ハーメルンの笛吹き」にたとえ、デタラメな公約でイタリアを破滅に導いたと酷評した。「イタリア人は彼に三度も騙された。最初は私も騙された」と、ふだんは学者然としたモンティ氏が、容赦なく続けた。  ベルルスコーニ氏は「やつこそ偽物だ」と、別のテレビ局で反撃した。外国でこそ「イタリア経済の救済者」などと称賛されているが、実際は財政再建に何の貢献もしなかったというのだ。  イタリアにとって不幸なことに、二人の批判はどちらも正鵠を射ている。保守政権時代のバブルを、子供を魔術のように連れ去った中世寓話になぞらえたのは巧みな比喩であり、モンティ政権が何もしなかったというのも真実だ。

大半の企業が「借金漬け」

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