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マフィアの「巣窟」バルカン諸国

犯罪組織と政府が「一体化」

2013年2月号

 バルカン半島で、犯罪組織が政府と結びついた「マフィア国家」が隆盛を極めている。旧ユーゴスラビアを含む、かつての東欧共産圏では、独裁時代の共産党や治安機関の残党が、マフィアと結託して権力を牛耳っている国ばかりだ。欧州連合(EU)は、西欧がマフィアに蹂躙されるとの憂慮を深めている。

「自由の戦士」は犯罪集団

 新年早々の一月十八日、モンテネグロの古都ツェティニェは時ならぬ喧騒に包まれた。風光明媚なこの小都市で、セルビアのトミスラブ・ニコリッチ、モンテネグロのフィリップ・ブヤノビッチ両大統領の首脳会談が行われ、報道陣が多数押し掛けた。  折からこの日、モンテネグロの大統領選を四月に実施するとの発表があった。セルビア大統領には記者団から、「ブヤノビッチの応援に来たのか」との質問が飛んだが、ニコリッチは、「あなたに言われて初めて知った」としらを切った。 「両大統領にとって、選挙など大した問題ではない。もっと重大なのは、利権分配の話ですから」と、在ベオグラードのセルビア人記者が言う。モンテネグロのアドリア海沿岸は近年、急速にリゾート開発が進んで・・・