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経済

投機資金に「米国回帰」の兆し

早くもアベノミクスに見切り

2013年3月号

「何しろ昨年(の運用実績)はたったの六%、特に当社のようなグローバルマクロ型のファンドにはつらい年で、投資家からの批判が厳しかった。しかし、ミスター・アベ登場以来の円売り、日本株買いで、今では月間三%以上、年率で四〇~五〇%のリターンが続いているよ」  旧知の大手ヘッジファンド運用担当者は、誇らしげにこう語る。同氏によれば、ジョージ・ソロス氏のファンドに至っては、「十億ドルの利益を上げた」という話だ。一九九二年の、あの有名な「英ポンド売り」に匹敵する額だ。ソロス・ファンドのポートフォリオでは現在、一〇%を日本関連株が占めているといい、ここ十年来なかった高い比率となっていることも米証券取引委員会(SEC)へのリポートで報告されている。  四カ月で二〇%も下落した円相場によって、「ヘッジファンド勢は全体で七十億~八十億ドルの巨利を得ている」と二月十四日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙も報じている。「アベノミクスへの賭けは、やはりジム・オニールの推奨が効いている」と同担当者は明かす。  大手ヘッジファンドの運用担当者らは合同で定期的に電話会議を開き、情報交換を欠かさないが・・・