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連載

西風 384

大阪人の歪んだ「地元愛」

2013年5月号

 大阪人は同じ関西圏にあっても他府県の人間とは異質だ。地元への愛着はことのほか強いことで知られ、時にそれは「執着」にさえみえる。

 四月に行われたお隣兵庫県の二つの市長選で日本維新の会候補が惨敗を喫した。最近報じられている維新内部におけるゴタゴタや、維新府議による迂回寄付を考えれば順当だ。しかしそれでも「大阪での橋下人気は衰えていない」(全国紙大阪府政担当記者)という。ある自民党府議はこう指摘する。
「橋下への支持は理屈ではなく、東京に対する対抗心も底流にある。ただしこれは維新の政策への支持ではない。府民は大きな矛盾を抱えている」

 この矛盾が如実に表れるのが「大阪都構想」という維新の公約だ。十月に予定されている堺市長選挙では大きな争点となる。現職市長の竹山修身は二月に早くも再選に向けて立候補を表明し、これに対して大阪市長の橋下徹はすかさず対立候補を立てると牽制した。竹山と橋下のかつての「蜜月」からは考えられない事態だ。

 竹山は元大阪府職員。府知事として乗り込んできた橋下に対して、府庁幹部職員の多くが「タレン・・・